医療について考える

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日本の医療の問題点(2)

 

誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の
知られざる真実 (新書y) 本田 宏 洋泉社

を読んで、いろいろ考えさせられました。

 

 

 


前回に引き続き、上掲書の内容をお伝えします。
今、私は医療の諸問題に関心があります。

 

医師や看護師、薬剤師を含む医療に携わる人たちは
足りているのでしょう?

 

 

開業医には、定休日があり、診療時間も患者さん主体
ではなく、医師本位のスケジュールが設定されている
ことが多いですね。

 

 

なかには、私が知っている歯科医院は、医院が入居して
いるビルの休日以外は無休で開院しています。
土日祝日も開院しているのです。
平日は夜7時まで、土日祝日は夜6時までです。
こうした医院(病院も含む)はまれです。

 

 

 

「3時間待ち3分診療」という実態が、よく言われます。
なぜ、そうなってしまったのでしょうか?

 

 

著者の本田医師は、次のように書いています。

 


私の担当する外科では、1回の当直で「のべ35~38
時間勤務」になることもザラである。(P.68)

 

 

 

私は、この文章を読んで、一瞬自分の目を疑いました。
見間違いや読み間違いをしたのではないか、
と思ったのです。
しかし、見間違いでも、読み間違いでもありませんでした。

 

 

「医者の不養生」という言葉がありますが、こんな無茶を
していたら、心身に悪影響を及ぼすだけでなく、判断を誤り、
医療事故の引き金にならないか、ととても心配になりました。

 

 

本田医師の説明は続きます。

 


当直明けの脳は、多量のお酒を飲んだときと同じ程度に
判断能力が低下しているそうだ。連日の無理な当直は、
医師の心身に大きな負担となるだけでなく、結果的に
患者さんの安全管理にも影響しかねないのである。(P.69)

 

 

 

では、医師は無休で働いているのでしょうか?
それはありえないことですね。

 

本田医師の言葉です。

 


もちろん、勤務医にも休日はある。しかし、セカンドコール
といって、緊急の呼び出しがあれば、休日返上で病院に
駆けつけなければならない。

 

私の場合でいうと、休日の3分の1から2分の1は、
セカンドコールで病院へ出向いている。少しでも何かあると
「医療事故」と糾弾されかねないため、外科の責任者として
365日24時刊いつでも連絡がとれるよう、就寝時でも
携帯電話を枕元に置いている状況だ。(PP.70-71)

 

 

 

こうした労働環境で、医師の過労死や過労自死はないの
だろうか、という疑問が湧きました。

 

 

マスコミで取り上げられることはめったにないからです。
「医療ミス」や「医療事故」は度々取り上げられます。

 


過労死や過労自死は、研修医だけでなく、
中堅医師の間でも増えている。(P.87)

 

 

 

小児科医と産科医が減っている、あるいは病院で小児科や
産科を扱わなくなってきている、という話を見聞きしたことが
あると思います。

 

 

ただ、その理由まではあまり知られていないと思います。
小児科医が減少している理由を、本田医師は、具体的に
解説しています。

 


小児科の場合、乳幼児への負担を避けるため、
採血やレントゲンなどの検査はできるだけ控えられている。
だから、十分な診療報酬を稼ぐのは容易ではない。
しかも、小児科は、一人ずつの診療時間がどうしても
長くなってしまう。なぜなら、心配する親御さんに、
時間をかけてわかりやすく病状を説明する必要があり、
点滴一つするにも大人とは比較にならないほど時間が
かかるからだ。(PP.91-92)

 

 

つまり、病院は非営利法人ではないので、
コストパフォーマンスを考えると、割が合わないのです。

 

国の少子化対策と矛盾していることが、
日々行われています。

 

 

産科医が減少している理由は、ちょっと事情が異なり
ます。

 


産科医が減っている背景には、訴訟の多さも関係して
いる。

 

(中略)
日本人の意識の中では、もはや「お産は安全に生まれて
当たり前」という意識が強い。何か異変が起こればすぐに
「医療ミスだ」と糾弾されてしまうのである。(PP.94-95)

 

 

 

小児科医や産科医が減っているだけでなく、
看護師不足も深刻になってきているそうです。

 

2006年に診療報酬の改定が行われ、それまでの
患者10人に対し、看護師1人体制から、患者7人に
対し、看護師1人体制に変更されました。

 

つまり、病院は看護師の人数を増やさなくては
ならなくなったのです。

 

 

そこで、多くの病院で看護師争奪戦が繰り広げられ、
有名大学病院は地方の看護学校まで回って新人
看護師を根こそぎ獲得しているそうです。

 

 

本田医師は、こうした現状に状況が好転するとは思えない、
と悲観しています。

 


看護師の絶対数が不足している現状では、7対1を
クリアするのは至難の業である。

 

最近は、国外から看護師を呼ぼうという動きまで出て
いるようだが、過酷の現場の勤務体制を放置したまま、
目先のことだけを考えて安易に国外から労働力を導入
しても、日本の看護がよくなるとは思えない。(P.112)

 

 

 

 

次回は、「日本の医療費は本当に高いのか」という問題を
取り上げます。

 

 

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