医療について考える

患者にとって最良の選択とは?

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ガンは完治するのだろうか?(2)

 

がん治療の常識・非常識―患者にとっての
最良の選択とは? (ブルーバックス) 田中 秀一

を読んで、主要ながん治療成績は数十年前と
ほとんど変わっていないことに愕然としました。

 

 

 

前回、ガン治療には大別すると3つある、と
お伝えしました。「手術」「放射線療法」「抗がん剤治療」です。

 

 

田中さんは、この中で「放射線療法」は軽視されてきた歴史があると、
述べています。ところが、「最近、放射線治療の技術が格段に進歩した
こともあり、ある種のがんでは手術に代わる治療法となってきた」
(P.118)そうです。

 

 

そもそも放射線とは何でしょうか? 
東日本大震災以後、福島第1原発事故の報道で、放射線の危険性が
叫ばれています。

 

 

放射線とは、陽子、中性子、電子、イオンの形になった原子核
など原子を構成する要素の流れ、あるいは電磁波の流れという
ことになる。(P.121)

 

 

これだけではよくわかりませんね?
もう少し、解説文を見てみましょう。

 

放射線には物質を通り抜けることのほかに、「電離」という
性質がある。電離とは、放射線が物質を通り抜ける時に原子
から電子をはじき飛ばすことで、イオン化ともいう。放射線
が人体を通り抜ける時に電離を起こすと、DNAなどにさま
ざまな影響を及ぼす。これが、がんの治療に役立ったり、
放射線による副作用の原因になったりする。(P.122)

 

 

ここでキーワードが現れます。アポトーシスです。
アポトーシスとは「細胞の自然死」と言われるものです。
私たちの体の中では、毎日細胞が死滅しています。その現象を
アポトーシスというのです。一方で、新しい細胞が産生されています。

 

 

残念ながら、脳細胞は死滅すると、産生しません。
しかし、脳細胞の数は非常に多いので、残った細胞同士が
新たなネットワークを作り、細胞の死滅による機能低下を
補うことができるのです。

 

 

「大脳の神経細胞数は約140億個と推定されていますが、
大脳の深い所にある細胞や小脳の細胞を入れると1000〜2000億と
推定されています。」

 

川上脳神経外科クリニックのホームページから)

 

 

放射線はアポトーシスの引き金を引くのだそうです。
ただ、問題は、がん細胞だけでなく、正常な細胞までにも
同様の影響を与えることです。特に影響を受けやすいのは、
骨髄や小腸だそうです。

 

 

白血球などの新しい細胞をつくる骨髄の幹細胞が放射線を
浴びると骨髄の壊死などにより、生命にかかわる深刻な
事態を引き起こします。

 

 

放射線を集中させる技術が向上し、放射線治療の安全性と
効果を高めたといいます。

 

 

ガンの種類によって、放射線治療が有効な場合とそうでない
場合があるそうです。小児ガンや肺ガンには効果があるそう
ですが、胃ガンや大腸ガンにはあまり効果がないということです。

 

 

やっかいなのは、放射線が効きやすいガンでも、サイズが大きい
と効きにくくなるということです。

 

 

放射線治療ができる施設は全国に800カ所近くあるそうですが、
その数より医師のほうが少ない、というにわかには信じられない
実態があります。

 

 

医師が少ないだけでなく、放射線技師などの専門スタッフも
不足しているのが実態です。

 

 

このため、放射線治療をするよりも、手術を行うことが多くなります。
アンケート調査によると、外科医の98%は「手術を行う」
と答えています。(P.142)

 

 

さて、次回は「ガンは完治するのか?」というテーマで
お伝えします。

 

 

 

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